興禅寺庭園“看雲庭”

Kozen-ji Temple Garden, Kiso, Nagano

木曽義仲が眠る寺院に重森三玲が作庭した“日本一広い石庭”。茶人・金森宗和による池泉庭園や小口基實による枯山水庭園も。

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興禅寺庭園「看雲庭」について

「萬松山興禅寺」(ばんしょうざんこうぜんじ)は中山道の福島宿・福島関所から徒歩10分程に位置する寺院で、福島関所代官・山村家の菩提寺。鎌倉時代、源義仲(木曽義仲)公を供養する為に木曽氏の子孫によってこの地にあった荒廃した寺院を再興する形で創建。木曽三大寺の一つと言われ、境内には木曽義仲の墓所があります。

庫裏の前に位置する枯山水庭園「看雲庭」重森三玲による作庭で、2018年秋に新たに国登録記念物(名勝地)に加わりました。偶然その翌日に2度目の訪問!(ちなみに今回は朝一の訪問だったのですが、影も多く逆光もなかなかだったので、陽がもっと高い時間に行くのが一番オススメです)

“日本最大級の枯山水庭園”“一木一草も無い石庭としては東洋一の広さを誇る”と言われる規模の大きい枯山水庭園。実際は近年はもっと広い石庭もあるとは思いますが(当サイトの中では神勝寺無明院の庭園とか)、この庭園の美しさは変わりません。木曽の山々を借景も美しいのですが、ただ山が美しい――というだけでなく、この庭園を雲海としてそれに浮かぶ山並みとなるよう、この石庭は造られているとのこと。瀬戸内海沖島産の石を用いているという石組と京都比叡山の白川砂もまた美しい。

また庫裏の奥、書院前には江戸時代中期に作られたとされる池泉観賞式庭園「万松庭」があります。江戸時代初期の茶人・金森宗和の作庭と伝わり、2度目の訪問時(11月中旬)には紅葉の絨毯が。もう少し早く来たら美しい紅葉に覆われた庭園が見られたのかもなあ。

また参道には平成年代に小口基實により作庭された2つの枯山水庭園「昇龍の庭」「須弥山の庭」(九山八海の庭)もあり、合計4種類の庭園が見られます(ただし冬季・積雪期に見られるのは「看雲庭」「万松庭」のみとのこと。この2つの方が規模が大きいので積雪期の整備も大変そう。でも雪の姿も見てみたい…)。

その他、宝物殿には木曽最古といわれる古文書・絵画・展示物をはじめ、現代のアーティストによる作品も展示されています(中でも漆芸家・石本愛子さんの作品は印象的でした)。なお寺内の建築は昭和年代に大火により多くを焼失したためそれ以降に再興されたものが中心だそう(本堂・勅使門など。そのうち勅使門は焼失前は国宝だったとのこと。それを復元した現在の門もかっこいいです!)。また室町時代に活躍した細川幽斎が立ち寄った寺院という縁から細川護煕元総理による石碑も。細川家ゆかりの庭園はこちら

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ちなみにパンフレットによるとこの石庭の上に台を設けて、座禅や茶会から、舞踊やパーティーに利用することができるそうです。…なにそれそんなイベントができる枯山水庭園初めて聞いた…!重森三玲庭園を眺めながらパーティー出来るなんて最高なんですけど(いや、やらないだろうけど…)。

(2015年10月、2018年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR中央本線 木曽福島駅より徒歩約20分
木曽福島駅より路線バス「興禅寺」下車すぐ→こちら

〒397-0001 長野県木曽郡木曽町福島門前5659 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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